過去のブランディングコンサルティングレポート

やる気のない社員もいつの間にか意欲的に!成功する企業が必ず実践している「情熱経営方程式」(後編)

前編の続き)

◆“馴れ合い”で働いていたベテラン社員をやる気にさせた女性社長の言葉

私がコンサルティングで関わらせていただいている企業の1つに小売業A社があります。同社にお手伝いに入らせていただいていてから3年目の春に、創業以来初となる経営方針発表会を開催したことがありました。これはお手伝いをはじめてからの私の念願でもありましたので、緊張感と楽しさとで一杯の気持ちでこの会を迎えました。

もともとはどこかのホテルで豪勢にと考えてはいたのですが、同社のみなさまで話し合い、お付き合いの会計事務所の2階で同会は行われました。最初にA社の社長が、同社の創業の歴史から、これから10年、5年、3年、そして今年の数値計画、行動計画などを50分ほどお話されました。

同社社長は女性経営者です。社長だったご主人がお亡くなりになられた後、経営を引き継ぎ、女手1つで同社を引っ張ってきました。当日はたいへん緊張をされていたようでしたが、内容について明快に分かりやすく社員の皆様に語りかけていました。

次に同社の専務が営業方針について、常務が店づくり方針について、そして社員全員が今年の決意を発表するという順番で進んでいきました。いずれの方の話もとても立派な内容で、1人1人が一生懸命考えて、心から何をしたいのかが伝わってくる会となりました。この会を通じて、「確実にこの会社は成長していくな」ということを私は確信しました。

A社は規模的には小さな会社です。当時は1店舗しかありませんでした。お手伝いを始めた時には2億2000万円ぐらいの年商で、売上は減少を続けていました。それが2000年のことでした。01年には2億5600万円、02年には2億6400万円、03年に2億7200万円と順調に売上を伸ばし、第1回経営方針発表会が行われた04年に3億円の売上目標を打ち立てるまでに至りました。

それまで順調に業績を拡大してきたとは言え、前年対比で2800万円のアップです。これは並大抵の努力では実現できません。しかし、これがクリアできなければ、次の戦略を実行に移すことができません。ですからこの発表会はとても重要なものだったのです。

幹部の話が終わり社員の決意発表になった時に、私はたいへん驚きました。なぜなら創業以来のメンバーの1人のベテラン女性Bさんの口から、「3億円の売上は実現できると思えました」という言葉がでたのです。

Bさんは、同社の社長とは長い付き合いということもあり、どちらかと言うと一生懸命というより、馴れ合いで仕事をお願いしてきた方でもありました。仕事振りも必ずしも素晴らしいものではありませんでした。2年前には店長をやっていたのですが、十分な店長としての働きがなかったため本部の社員にもどっていただいたという経緯もありました。

その彼女の口から、「3億はいけると思えた」という言葉がでた時に、私は「社長の思いが伝わったな」と心から思えました。この会社は成長する軌道に入ったと感じることができたのです。その場にいたみんなが目に涙を浮かべて、絶対に達成するぞ!とみんなが一体化した瞬間でした。彼女の本気、情熱がまわりに伝わったのです。

その後、A社は売上を一度も落とすことなく成長を続け、今では店舗数も複数店舗を構えるほどになり、年商10億円を超える勢いで成長を続けています。同社に勢いをつけさせたこととは、一体何だったのでしょうか。 


◆会社が一体化するためには~具体的に何をすべきか

「会社は一体化しなければならない」と簡単に口にはしますが、一体化とはそう簡単に実現できるものではありません。一体化するということは、社長が自分の考えを社員に自分の言葉で伝えることが前提ですし、社員もその考えを心から理解することが必要です。普通の会社はそういうことを確認できる場すらありません。また伝える言葉も持っていないのです。

では、どうすれば会社は一体化するのでしょうか。

A社ではまず、5年後の経営計画を作ることから始めました。次に、店の売上が減少を続けていましたので、店の売上をアップさせるための現場支援を続けました。同時に社員の接客研修、数字の基本研修、売場づくり、POP研修などを1年目には徹底してもらいました。

そして、社長には企業理念の徹底をお伝えし、「できるだけ早く理念を明確にし、A社の将来像を社員に語ろう!」ということをお会いするたびに伝えてきました。それが遂に言葉になったのが3年目の11月でした。社長は本当に一生懸命考えてくださったのですが、理念を言葉にするまでに2年半かかったのです。しかし、実際に作ろうとしはじめてからは、2時間ぐらいでできあがってしまったとおっしゃっていました。これを経営計画書として私が整理し、経営方針発表会での発表となりました。

企業の成長軌道を描くためには、潜り抜けなければならないことが山ほどあります。しかし、会社の代表者である社長が方針を決めて、この方向に進んでいくぞと決意を固め、それを社員と共有する環境を作れれば、あっという間に会社の成長軌道は描けるものなのだということを私は痛感しました。

同時に、リーダーには「言葉」が必要です。A社の社長は「努力と工夫」という言葉をみなのめざすべき姿として掲げました。とにかくみんなで努力していくのだ、そして1つ1つの仕事を工夫することでお客様に喜んでいただくのだと日々社員に伝えていったのです。

A社の社長は情熱の塊のような人であり、常に熱く社員を盛り上がらせることだけを仕事で取り組んでいた人ですが、言葉をとても大事にされていたことが会社の一体化を推進したことはまちがいありません。同時に言葉を実践に落とすために次のようなことを始められました。

 ・みんなで毎朝実行する朝礼
 ・みんなで取り組む清掃
 ・みんなで食べる食事
 ・年に1度の大創業祭
 ・頑張った人には旅行やイベントへの参加権を与える など

特に、みんなで毎朝実行する朝礼にはたくさんの企業の方が見学に来られるほどになりました。ものすごい大きな挨拶の練習を日々やるのです。ちょっと大げさかなというくらいのものです。それが同社の普段の自然な挨拶になっています。挨拶も訓練次第ではとても素晴らしいものに変わることを知りました。

会社の一体化は社長の考え方やビジョンを社員に伝えることからスタートします。これがなければ会社は一体化しません。そして、そのビジョンは常にお客様中心の言葉で、お客様中心の考え方で一貫していなければ成功はおろか実現もしないのです。

これが、情熱を込めたトップの言葉が会社の成長を決め、その言葉が社員を成長させるということを実感した企業事例です。まずはトップが情熱を持ち、それを社員に根気強く伝えていくことが、これからの経営に必要なたった1つのことなのです。 


◆成功する企業のカギとなる~「情熱経営方程式」の秘密

私は情熱経営を次のような公式で表すことができると考えています。

 

情熱経営とは、情熱をたぎらせる集団を作り上げ、組織としての目標を皆で達成するという経営法のことです。これを実現させるためには、熱い思い(=情熱)に加えて2つの項目が必要なのです。

1つは「正しい考え方」です。熱い思いを持っていても、社会通念に照らし合わせて、モラルを守っているか、法律に則っているか、人としてまちがっていないかという基本的な考え方を守ることが大前提です。併せて、伸びるための原則であったり、一流になるためのポイントといったものをはずして情熱を燃やしても、正しい経営にはならないでしょう。社会的な事件になっているほとんどのケースは、すべて正しい考え方が欠けていたということです。したがって、まずは正しい考え方を基礎とすることが必要です。

もう1つは「一体化力」です。一体化とは、ある一つの思いのもとで、そこに関わるメンバーが共感し、達成目標に向けてみんなの力を合わせて動いていくことを指します。これからの時代には個の強さを前提として、その強い個が集まって一つのものを作り上げるチーム力が不可欠です。このチーム力こそが一体化力です。強いチームは仲がいいのではなく、目標を達成するためにはどんな苦労も厭わないという強い意思を持っているものです。そして、楽しさと同じくらい厳しさを持ち合わせています。これが一体化を作り上げます。

ここに熱い思い=情熱が加わったときに、その会社は爆発的な力を備え、結果をたせる強い企業となっていきます。私のお付き合い先では情熱経営を組織に取り入れ、みなが熱い思いを持てば持つほど、結果として業績が伸びるということが分かってきました。どんな思いを持つ人たちが集まっているのかが企業には必要です。情熱経営こそがこれからの成長企業にとって大切な経営観といえるでしょう。

今年の情熱フェスタでは特に、人の「こころ」に焦点を当て、強い気持ちを持ち、情熱を持ち続けるためのコツについてお伝えしてまいります。そしてご参加くださった方には、新しい時代へのヒントを掴んでいただきたいと思います。
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■ 著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
船井総合研究所 ブランド&PRチーム 上席コンサルタント
「戦略は思いに従う」を信条 にファッションを専門分野として、現在では百貨店、アパレルメーカー、SPA専門店を中心としたアパレル、流通小売業のコンサルティングに従事している。現場支援と通算2,000回を超える講演活動により、情熱に満ち溢れた企業づくりにまい進している。テレビ出演、雑誌、新聞などへの執筆も数多く、コメンテーターとしての活動にも注目が集まっている。 この数年のコンサルティングテーマは「永続するための企業ブランド戦略づくり」。社員が誇れる会社を作るためのコンサルティングに全力を注いでいる。 著書に『アパレル業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)などがある。
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